チタンタンブラーはなぜ「味が変わらない」のか。109gの純チタン『しぼりチタン』が生まれた理由

チタンタンブラーはなぜ「味が変わらない」のか。109gの純チタン『しぼりチタン』が生まれた理由

結論から言えば、水の味を変えているのは水ではなく「器」です。 純チタンは化学的に安定していてイオン化しにくいため、飲み物に金属成分が溶け出しにくく、においや風味を加えにくい素材です。せきかわ工芸が新潟県燕市の伝統技術「ヘラ絞り」でつくった『しぼりチタン』は、その特性を最大限に活かすため、500mlで約109gという極めて薄く軽い一枚仕立てに仕上げました。

毎日の「小さな我慢」に、気づいていますか

朝、仕事を始める前に水を注ぐ。デスクワークの合間にひと口飲む。

「何を飲むか」にこだわる人は増えました。ミネラルウォーター、白湯、質のいいコーヒー。けれど「どう飲むか」——つまり器を見直す機会は、ほとんどありません。

グラスに口をつけたときの、わずかな厚み。ガラス容器に残る、かすかなにおい。ステンレスのコップに感じる、あの金属の風味。

小さすぎて言葉にしてこなかった違和感。それは、器を変えるだけで消えるかもしれません。

なぜチタンだと飲み物の味が変わりにくいのか

チタンは化学的に安定した金属で、イオン化しにくいという性質があります。飲み物に金属成分が溶け出しにくく、独特のにおいや風味を加えにくい。だからミネラルウォーター本来のクリアな味わいが、そのまま口に届きます。

さらに、錆びにくく、強度があり、におい移りが少なく、汚れも落としやすい。抗菌性にも優れ、雑菌が繁殖しにくい素材です。

私たちが目指したのは「特別な日のためのチタン」ではありません。日常の中で使い続けられるチタンです。味を引き立てるのではなく、邪魔をしない。足すのではなく、余計な要素を抑える。その発想から『しぼりチタン』は生まれました。

ステンレス・ガラスと何が違うのか

ステンレスは丈夫で扱いやすい一方、素材由来の風味を感じる方がいます。ガラスは味に影響しにくいものの、割れやすく、厚みのある飲み口が口当たりを左右します。純チタンは、味への影響の少なさと割れにくさ、そして薄く仕上げられる強度を同時に満たせる、数少ない素材です。加工の難しさゆえに製品数が限られてきた——それが、チタンの器がまだ日常に浸透していない理由でもあります。

500mlで109g。数字が語る、薄さと軽さ

項目しぼりチタンタンブラー500しぼりチタンタンブラー380
容量500ml380ml
重さ約109g約91g
サイズ直径約78mm×高さ約175mm直径約78mm×高さ約140mm
材質純チタン純チタン
構造シングル構造シングル構造
産地日本・新潟県燕市日本・新潟県燕市

手にした瞬間、まず伝わるのは薄さと軽さです。飲み口のフチは、唇に触れたときの違和感を抑えるために厚みを追い込みました。意識が器ではなく、飲み物そのものへ向かう。そんな口当たりです。

そして、国産チタン製品としては珍しい500mlの大容量設計。500mlのペットボトルや缶ビールがそのまま収まります。何度も注ぎ足す手間が減れば、仕事の流れも途切れません。市販の直径78mm用の蓋が装着できるため、持ち運びや転倒防止にも対応します。

「ヘラ絞り」——機械では出せない、中間を見極める技

チタンは軽くて丈夫な一方で、金属の中でも加工が難しい素材です。回転の速度や力のかけ方がわずかにずれるだけで仕上がりが変わる。遅ければ伸びず、速ければ切れる。その中間を見極めるのは、機械ではなく職人の手です。

成形に用いるのは、燕に受け継がれてきた伝統技術「ヘラ絞り」。回転する一枚の金属板にヘラを当て、少しずつ形を変えていく加工法です。

『しぼりチタン』は、下から上へゆるやかに広がる曲線を描いています。一見シンプルですが、このわずかな広がりが持ちやすさ・口当たり・容量のバランスを決めます。まっすぐな円筒のほうが簡単につくれる。それでもこの形を選んだのは、使いやすさを最後まで諦めなかったからです。

表面の「ダイヤモンドカット」は、当社の完全オリジナル模様。光を受けるたびに表情を変え、凹凸が手にしっかりなじんでグリップの役割も果たします。分業の多いこの地域で、図面設計から金型デザインまで自社で担う一気通貫生産だからこそ、試作と修正を重ねて形にできました。構想から完成まで、1年かかっています。

朝から夜まで、ずっと手元にある一杯

  • 9:00 / 始業とともに500mlの水を注ぎ、集中モードへ
  • 11:00 / 一度注げばしばらくそのまま。手を止めずに水分補給が続く
  • 16:00 / 思考が煮詰まったときの一口。クリアな水が気持ちを戻す
  • 19:00 / 1日のご褒美に、缶ビールをそのまま。におい移りが少ないから切り替えもスムーズ

デスクでも自宅でも、変わらないのは器の主張を抑えたすっとした飲み心地。気づけば、一日中これを手にしているはずです。

よくあるご質問

Q. 中性洗剤で洗っても大丈夫ですか?
A. 他の食器と同じく中性洗剤で洗えます。やわらかいスポンジがおすすめです。食器洗浄機のご使用はお控えください。

Q. 色が剥がれることはありますか?
A. 塗装で着色していないため剥がれません。ただし使用のうちに色が薄くなることがあります。

Q. 海で使っても大丈夫ですか?
A. チタンは錆びに強い金属のため、海でもお使いいただけます。

Q. 衛生面は?
A. チタンは抗菌性に優れ雑菌が繁殖しにくいため、清潔に保ちやすい素材です。

Q. 保温・保冷はできますか?
A. シングル構造のため、二重構造のような保温・保冷性能はありません。軽さと口当たり、そして味わいを優先した設計です。

一生モノを、町工場から

ガラスのように割れるリスクが低く、劣化しにくい。長く使い続けることは、結果として無駄を減らし、環境への負荷も軽くします。買い替えを前提としない道具です。

せきかわ工芸は1988年創業、400年以上のものづくりの歴史を持つ燕三条で、チタン加工のパイオニアとして歩んできました。自社ブランド「Art Tech」のコンセプトは「長く味わう、共に過ごす」。自動化が進む時代にこそ、手の技から生まれる製品を、燕市の町工場から世界へ届けたいと考えています。

現在『しぼりチタン』は、応援購入サービスMakuakeにてプロジェクトを公開中です。公開初日に目標金額を達成し、多くの応援をいただいています。

Makuakeプロジェクトページはこちら

毎日の一杯を、少しだけ、いいものに。